安土桃山の京都の小説と絵と | 綿菓子屋此処似候

安土桃山の京都の小説と絵と

 美術解説書の名著と言われる福永武彦著『ゴーギャンの世界』でゴーギャンを知った。同じく高校生の時に読んだ本で忘れられない本がある。
 
 辻邦生著『嵯峨野名月記』は安土桃山時代の町人文化の熱気を伝えてくれる、大好きな小説のひとつ。本阿弥光悦を中心に嵯峨本の制作を軸に物語が語られる。その影響で光悦寺にも三回ほど訪れている。小説の登場人物で印象的なのが、俵屋宗達だ。琳派の画家は宗達の描いた風神雷神図を模写(模写の模写を含む)しているそうだ。
 私事だが、昔油絵で風神を描いたことがある。なら、私も琳派の仲間かも知れない。----ウソウソ!
 
 で、10月4日は久しぶりの京都に行った。
 秀吉とねねの菩提寺として有名な高台寺は広い庭に茶室が点在していた。
 近くの石塀小路の『玉半』で昼食。鴨饅頭のあんかけ、鯛めし、はも丼など。さらに『鍵善良房』のくずきり。

 祇園にある建仁寺は日本最古の禅寺。風神雷神図は本来この寺の所蔵品だが、京都国立博物館に委託されていて、複製が展示されているだけ。それでも博物館でではなく、建仁寺風神雷神図を見たかった。誰もがよく知っている絵が置いてある。
 ユーモラスで非現実的なのだが、存在感は緻密な写実画より優れている。二曲一双の屏風をしばし眺める。
 また、2002年に描かれた法堂(はっとう)の天井画『双龍図』は迫力で見るものを圧倒する。
 
 夏は避けていた久しぶりの京は久しぶりの晴天でまだ暑かった。


嵯峨野明月記 (中公文庫)/辻 邦生

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 ひょっとしたら、40年ぶりの再会だったりして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?