お涙頂戴を非難できない | 綿菓子屋此処似候

お涙頂戴を非難できない

 『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』では、ラストで仲村トオル演じる白鳥圭輔が対岸のコンビナート火災に向かって走り始めた。恐らくゴールする頃には火災は収まっているだろう。

 で、最近の日本のドラマでは車での移動シーンがかなり少ないことに気がついた。制作費削減による余波なのだろうか?
 アメリカの刑事ドラマでは相変わらず数台の自動車を毎回ぶつけたり爆破したりしているから迫力の差は大きく開く一方だ。

 後に『裸の銃を持つ男』シリーズで映画化されたテレビ・ドラマの『フライングコップ』で主演の レスリー・ニールセンは「テレビではながら見されて、細かいギャグを見逃されていた。パッとしなかったテレビとは反して映画でヒットしたのは、映画ならながら見されることなく、きちんと笑ってくれるからだ」てなことを述懐していた。

 日本のテレビ・ドラマの安易なお涙頂戴を非難できないのは、結局は制作側もながら見されることを前提としているからで、私もまともに見てはいけないと自ら律しながら日本のドラマを見るようにしている。

 その点、アメリカのドラマは展開が早い。お気に入りの『NCIS』などでは最初の殺人事件から話はどんどん他所へ流れていく。ラストでは元に戻るにせよ、ボーッと見ていては何の事件かわからなくなっていて、無理矢理納得させられている自分に気付くだけだ。
 難解といっても良いほどなのに、アメリカでの視聴率は悪くない。あの日本でも有名な『24』や『アメリカン・アイドル』と肩を並べているぐらいなのだ。
 最近かかさない『バーン・ノーティス』などはいつもふたつの話が同時進行していて、目を少しでも離したら関係性がわからなくなる。
 ともに、ながら見を許さないのに、好評を得ている。日本では考えられないことだろう。

 理由を考えていて、一点だけ思い当たるふしがあった。
 ドラマの視聴者の主役はたぶん日本でもアメリカでも主婦だろう。『フライングコップ』が放送されていた1980年代前半ではアメリカでも主婦は家事に追われてテレビをながら見するしかなかった。しかし、最近では主婦にも余裕が出来て、テレビ・ドラマも中身が問われるようになり、難解になっていった。
 しかし、日本の主婦はまだまだながら見がほとんどで、途中半分ぐらい抜けても十分お話が通じるドラマが求められている。

 つまり、テレビ・ドラマの質はその国の女性の待遇に比例している。

 などと妄想しながら、『NCIS』を見ていたら、ストーリーがわからなくなってしまった。FOXで新シリーズが始まって衝撃の連続。また最初から見直さなくては・・・・。頭の中は混乱するばかりだ。

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